2006.06.24 2006歌舞伎鑑賞教室
国立劇場にて歌舞伎十八番の内
「毛抜」を鑑賞しました。
開演のブザーが鳴り会場が暗くなると、ゆっくり舞台がせり上がってきます。
太鼓の音が小気味良く響き、花道から坂東亀三郎が登場。
昨年と変わらぬ渋い声で≪歌舞伎のみかた≫の解説が始まります。
まずは、国性爺合戦の特徴の一つ「舞台装置」の紹介です。
開演と同時にせり上がった舞台を、まさに“せり”と呼び、回転するものを“回り舞台”
または“ぼん”と呼ぶそうです。これはスピーディに場面転換が出来るように、250年
も前に歌舞伎で考案され、今ではミュージカルまどでも使われています。ミュージカル
と同様、『歌』が重要な役割を持つ歌舞伎。特に国性爺合戦は人形浄瑠璃が原作となってい
るので、義太夫節の演奏が多く入ります。
上手(かみて)には義太夫がおり、歌と三味線で芝居ナレーションをしていきます。
心地よい長唄と難しい言い回しに、つい目を閉じてしまいそうになりますが・・・
そうはいきません!!
歌舞伎鑑賞教室では、舞台の両側に電光掲示板があり、そこに太夫さんの歌の現代語訳が
出るようになっています。「難しい」と目を閉じず、しっかり掲示板を読みながら舞台を
楽しみましょう。
鎖国の時代に、近松門左衛門が中国を舞台に書き上げた一大スペクタル作品!!
3年越し17ヶ月ものロングランとなった傑作を堪能します。
肥前の国(長崎県)の漁師・和藤内は、父の祖国である明が韃靼国に
攻め込まれている噂を耳にします。
明の滅亡を知った和藤内は忠誠心に燃え、父母を伴ない中国へと渡り、
勇将の誉れ高い五常軍甘輝を味方につけようと獅子ヶ城を目指すのでした。
さらに、父・老一官が2歳のときに明に残した娘が甘輝の妻・錦祥女だと
耳にした一行は獅子ヶ城へと急ぎます。
しかし楼門の鉄扉は堅く閉ざされ、門番は甘輝の留守を理由に取り合いません。
その時、錦祥女が高楼に美しい姿を現しました。
生まれてすぐに母を亡くした錦祥女は、はるか異国の父を長年慕い続けてきたので
しょう、真の父と分かるや涙を溢れさせます。
やがて父・老一官は、甘輝への願いがあって来たことを告げますが、
異国者は門内へ入れない掟です。
そので母・渚は、老女である自分を縛った上で入れて欲しいと願います。
錦祥女は義理の母を引き受け、甘輝が願いを叶える時には白粉(おしろい)を、
また叶わない時には紅を城外へ流して、合図することを約束します。