ホーム > 新着情報一覧 > 新着のお知らせ詳細

2004.06.14 2004年歌舞伎鑑賞教室

       
                                  

    

解説は澤村宗之助(さわむら そうのすけ)。着物姿ではなく洋服で登場したのは、
≪歌舞伎のみかた≫で(※1)見得を切る時に
仕草や体の線を分かりやすくする為だという。
「ばぁ~ったり」という掛け声と共に切る見得。
(※2)女方の基本・立ち廻りは、もちろん素人が安易に真似ることは出来ない。
しかし舞台に上がり、澤村宗之助を一生懸命真似る観客の姿は、
どこか味のあるもので面白い。

本編「鳴神」では中村扇雀(なかむら せんじゃく)の
女方の色っぽさに、うっとりと心奪われ、
中村橋之助(なかむら はしのすけ)の見得の立派さ・形のよさには
歌舞伎通のように、思わず「成駒屋っ!!」を声を掛けたくなってしまう。

 時の朝廷は(※3)鳴神上人(なるかみしょうにん)に皇太子誕生の
 祈祷を命じ、成就したならば上人の願い出た戒壇の建立を約束します。
 鳴神上人は見事に成就させるのですが、朝廷は約束を守りません。
 これに怒った鳴神上人は竜神を滝壺に封じ込め、
 雨が降らないようにしてしまいます。

 そんなある日、鳴神上人が行に励む京都・北山の奥深くに
 一人の美しい女性が現れます。
 聴くと、夫の供養のために形見の小袖を北山の滝で洗わせて欲しいと言う。
 この美しい女性、実は雲の絶間姫(くものたえまのひめ)といい
勅命により、鳴神上人の法力を破るためにやって来たのです。
 
匂い立つ絶間姫の色気に落ちていく鳴神上人。その隙に滝壺の注連縄を
切り落とす絶間姫。
その後、姫に騙された事を知った鳴神上人は烈火の如く怒り狂います。

鬘や衣裳が荒々しくなり、柱巻きの見得・激しい立ち廻り・
飛び六方の引っ込みなど、「荒事(あらごと)」と呼ばれる
歌舞伎の代表的な演技様式も見ものです。

(※1) 「 見   得 」  :物語の重要な場面や、登場人物の感情が高ぶった時に、いったん
                 動作を止めてポーズをとる。これによって観客に強く印象付けをする。
(※2)「女方(おんながた):女役のこと。「女形(おやま)」とも言う。
(※3) 「 上   人 」  :知と徳をかねた高僧